複雑な恋のゆくえ【完】
第2章 手をとる/とらない
その言葉に、五人の取り巻きはうんうんと頷き、先輩は去っていった。
――は。
「秋はお前らのものじゃねぇよ」
ただ、忠告だけだったのでほっとする。
その場にずるずると座り込んだ。
こんなとき、必ず秋が来た。
冷めた目で、俺なんか心配じゃないって目で、俺を見るんだ。
「今日は……来ねぇのかよ」
なんだよ。なんなんだよ。
空をあおいだ、そのとき。
――ガサっ。
草が何かで揺れる音がした。
「春斗くん!」
そこから出てくる、可愛らしいひと。
「笑さん……なんでここに」
「千秋ちゃんから聞いた。春斗くんならここにいるって」
……秋から?
「あの、秋……千秋は、」
「千秋ちゃんはもう帰るって」
その言葉に、軽く目眩がしたね。