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言葉で聞かせて

第6章 休息?


「あぁ」
「ふぅん?」


菜摘は俺を品定めでもするかのような目で見つめた


「なんだよ?」
「別に」


俺は特に違和感も感じずにそのまま寝て、翌朝普通に帰宅した



数日後

家に帰ると千秋がソファで丸くなっていた


「ただいま」


俺が声をかけるとぱっ、と顔を上げて俺の方に駆け寄ってきた
そして何も言わず(そもそも声が出ないんだが)俺に抱きついて胸のあたりに顔を埋めた


「な!?ど、どうした?」


動揺して思わず千秋を引き剥がしそうになったのを気合いで耐え抜く

とりあえず後頭部をゆっくり撫でて「よっ」と担いでソファに座る


歩いてる途中に気づいたんだが、千秋


震えてる……?


肩を軽く掴んで引き離すとその目には薄っすらと涙の膜が張っていた

「!?どうしたんた?何があった?」


千秋は一度俺の膝の上から下りてメモ帳にサラサラ何かを書き込んでいく


「?」


書き終わるのを待って、それを見ると


「『誰かが家の周りをうろうろしてる』……?」


こくん、と千秋は頷いたが


いや、まぁ
マンションだし


「そりゃあ、人ぐらい通るだろ?」
『もっと、怪しい感じだったんです』
「んー?まぁ、最悪俺たちの仕事関係で女が張ってることはあると思うけど、俺たちがいないのに家に用はねぇだろ」


俺の言葉に千秋は安心したようで顔の緊張を解いた


俺も特に気に留めず、そのことを悠史に話すこともしなかった

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