言葉で聞かせて
第8章 猫に恋敵
『僕、昨日 その人に嫉妬してしまって』
「「嫉妬?」」
昨日といえば僕達が身体で繋がった日、だけど
もしかして
僕が口に出す前に敦史の口が動いた
「俺が取られると思って?」
こくん、と頷いた千秋さんの顔はさっきから変わらず真っ赤に染まっている
「それで、どうして今度は僕の腕に?」
「それはお前、今度は悠史も危ないって思ったんだろ」
千秋さんは再び小さく頷く
か、可愛い……!!
僕は勢いよく千秋さんを抱きしめた
「千秋さん可愛い……!!」
「あー悠史……ずりぃ……まぁいいや、これで。ははっ」
敦史は僕ごと千秋さんを抱きしめる
「お前可愛すぎだろ。嫉妬とか」
「ほんと……」
「でもまぁ俺たちの仕事が仕事だもんな。不安にもなるよな」
敦史さんは千秋さんの頭を優しく撫でた
あーほんとに可愛い
突然敦史を誘うなんてことしたと思ったら
そんな理由があったなんて
もう
ほんと
離れられなくなりそ
未だに恥ずかしそうに頭を横に振る千秋さんを僕達は笑う
ふと、千秋さんは僕の顔を見上げた
『悠史さんがその人に好かれてなくて良かったです』
「ん?ふふっそうですね」