
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
本当に、真面目に
僕を心配して叱責するような目
その目で見られた瞬間、スイッチが入ったように頭から余計な考えが消えた
ちゃんとしろ
ちゃんとしろ
エリカさんは教えてもない自分の本名も住所も知ってたんだから、こんなことも平気でする
そのぐらい予想できただろ
細かく考えるのは後だ
人に迷惑をかけることなんて出来ないんだから
僕は女性に向き直って誰より美しく微笑んだ
「大変失礼致しました。お席に参りましょうか」
「……………………うん……」
女性は顔を真っ赤に染めて僕を見上げている
今だけ、エリカさんが店に来たことは忘れよう
目的を達成することだけ考えるんだ
「何をお飲みになりますか?」
「えっ……と…………ワイン?……ちが……シャンパン…………入れて…………」
まだ惚けて家まともな返答が返ってこない女性に「大丈夫ですか?」と声をかけると、ようやく気がついたように目を瞬かせた
「あ…………ご、ごめんなさい。聖夜がかっこよすぎてつい……」
「そんなことないですよ」
「ううん。ほんとにかっこよかった。……あー……今日ほんとに来てよかった。あの女に邪魔されたけど、これでチャラね」
あ
どうやってエリカさんに話を誘導させようかと思ってたけど、自分から話してくれた
