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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


ついてるな、なんて考えながら僕は謝罪の言葉を口にする


「本当に失礼致しました。お怪我はありませんでしたか?」
「うん。大丈夫。聖夜も大変ね?あーいう勘違い女が出来ちゃう仕事なんて」
「そうですね。でも、貴方のような美しい方のお相手を出来るならその苦労もないのと同じですよ」


僕が再び微笑むと、また顔を赤く染めた


「で、でも……っ、大変よね!さっきの人、かの有名な大企業の社長令嬢じゃない?」
「ご存じだったんですか」
「パーティで何度かね。娘があんな風になっちゃって……あの会社も終わりかもね」
「……」


僕はにこにこしながら黙っている

このままならきっと


「……この前社員がお金使い込んでるって噂だったけど、あれも本当らしいし」


やっぱり
その話になると思った


僕はただ微笑んで相槌を打つだけ


「そうなんですか」
「ヤバイわよね。社員もだめ、娘もだめで……まぁ、あの社長にあの娘ありっでも感じなんだけどね」
「社長さんが……なにか?」
「キモいハゲたデブのおっさんなんだけどね?娘に欲しいって言われたらなんでもあげちゃうようなクズなのよ。社員が使い込んだとか言ってた会社のお金も社長が娘にあげちゃったんじゃないのー?」


きゃはは、と笑い声をあげる女性に合わせて僕も少し笑った

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