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言葉で聞かせて

第13章 言葉で聞かせて


暫くすると、千秋が重くなったのがわかる
散々俺の腕の中で泣いていたから、疲れて眠ってしまったみたいだ


「…………ごめんな、千秋」


そっと自分のベッドに千秋を横たえて、濡れた目元にキスを落として俺は1人部屋を出た

リビングのテーブルの上にいつも置いてあるはずの朝食は今日は置いていない

キッチンに入ると、何かを作っていたであろう形跡のみが残されていた

悠史がいつも通りの時間に起きてこなくて、料理の途中で呼びに行ったんだろう


……で、部屋に入ったら悠史はいなかった、と
本当、酷だよな

昨日までは何も変わらなかったのに、突然荷物も何もかも無くなってて


俺の頭に、泣きながら千秋が言った言葉が蘇る


僕のこと嫌いになっちゃった、か

あぁくそ
やっぱり悠史自身に話させるべきだな


俺はキッチンで料理をしなくても食えそうなものを探して、適当に朝食を済ませた

静かに洗面やらの支度を済ませて、スーツを取りに部屋に戻ると千秋はまだ眠っている

頬に残る涙の跡を親指で拭って落としてやると千秋が少しだけ身じろぎした


……ん
さっきの険しい顔じゃなくなったか
良かった


俺はリビングの机の上に置手紙を残して、家を出た

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