
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
全員がまだざわついてる中、店長の三崎さんはそれを一喝して静めた
「静かにしろ。突然で動揺するのはわかるが、それで売上落とすなよ。それじゃあ今日も頑張ってくれ」
力のある言葉に、全員が返事をした
それに頷いた三崎さんは、新人らに開店の指示を出すと俺に向き直る
「敦史、ちょっと来い」
「……はい」
まぁ、呼ばれるよな
その予感がしていた俺は、三崎さんの側によるなり開店時間までに終わる話かを確かめる
「あぁ…………いや、長引くな」
「わかりました」
そう言って俺は近くの黒服に声をかけて、開店後暫くは自分がいないことを伝えた
「事務所、来い」
「はい」
俺と三崎さんが事務所に移動すると、そこには佐伯さんの姿もある
「おう。お疲れさん」
「まだ働いてないっすけど、お疲れ様です」
「細かいことはいいんだよぉ」と笑う佐伯さんは、事務所のソファでタバコをふかしていた
その横に三崎さんが勢いよく座る
「……」
話を始めないまま、三崎さんがタバコを咥えた
ライターで火を点けようとすると、それを目で制した佐伯さんが自分の懐から取り出したジッポで火をつけた
