
言葉で聞かせて
第13章 言葉で聞かせて
上司でもあるオーナーからのそれを当然のように受けた三崎さんが
「ふーー……」
と長く紫煙を吐き出した
「……で、話ってのはなんすか」
「……」
俺が焦れて聞いてみたが、三崎さんは黙ったまま
聞きたいことはわかってんだけどな
だから早くしてくんねぇか
俺は仕事しながらあの女の尻尾掴まなきゃいけねぇんだからよ
俺の目に苛立ちが滲んだのを見て、佐伯さんが「ふは」と笑いだした
「いやいや、悪いね。さっさと話せばいいのにまったく三崎ママったら、考え込んじゃって」
「…………うるせぇ」
なんだ?ママ?
「俺から聞くよ、敦史。…………どうして悠史だけあんな思いつめた顔して退職届出してきた?お前ならその理由知ってんじゃないのか?」
いつもおちゃらけてる佐伯さんからは想像も出来ないような、真面目な顔に真面目な声
「……っ」
別に悪いことしてるわけじゃねぇのに、その威圧感で俺は息を飲んだ
やっぱこの人を敵に回したくねぇな
俺が、ビビってるなんて
「…………」
「おい」
俺が何も話せずにいると、三崎さんが佐伯さんの腿を叩いた
「やめろ、その目。怖がってんだろ」
「え?あ……あぁ……だって、三崎ママが昨日から構ってくれなくてぇ……」
普段のふざけた態度に戻った佐伯さんが三崎さんの肩に鳴きまねしながら擦り寄る
何してんだこいつら
