テキストサイズ

陽だまりの家

第3章 欠落しているもの

もっと早くに出会って、

もっと早くに彼に恋をして、

もっと自分が完璧で、

もっと素直になれてたら何か変わっていただろうか

そんな事ばかり私は繰り返し考えた


でも、彼は私を選ぶ事はないだろう


彼の彼女には叶う気がしなかった



卒業の時、何もしないで後悔したくないと思い

私は彼に振られることは分かりきっていて

告白した

彼女にも悪いと思った

でも止められなかった

彼とは高校もバラバラで、もう会えないかもしれないと思ったから



当然、振られてしまったのだが


私が振られて数分後に、

彼は彼女と別れた

あまり上手くいっていなかったらしい


彼は彼女の事が好きで、大事にしていたのだが

彼女の方が気持ちが遠ざかってしまったらしい


悔しかった

どうして彼なのだろうと

他にもいっぱいいるのに

何で彼だけが特別に見えるのだろうと



卒業式の帰り道、彼と一緒に帰った事を思い出し

涙がこぼれ落ちた




それから、私の恋愛に関する何かが欠落した



誰と付き合ってもすぐに冷めてしまい、

その人を好きになる事が出来なかった

当然、私がこんなんだから長続きするわけもなく

散々だった



他の人といても、彼を思い出してしまう




恋というのが分からなくなった


そんな感じで、高校2年生の5月

私は渡に告白された

渡とは球技大会がきっかけで

その前の年の12月頃からずっとメールのやり取りをしていた

告白された時、

私は彼と遊びに行っていて

その帰りに言われた


あまりにも突然のことだったのでOKしてしまった




現在、渡と付き合い始めて8ヶ月目だ



今だに私は本当に彼が好きなのか、

自分が恋愛に関して欠落しているのではないかと不安になっている

その事を茜に話すと

茜は

「人間には必ずどっか、欠落している所があると思うよ」

茜にも欠落している所があるらしい


茜も今こそは、色々ありはするが

彼氏と幸せそうにしている


でも、こうなる前は散々だったらしい

茜の話を聞いていると

昔の茜と、今の私が重なってるように思えた

茜は言う

「いつか絶対、本当に好きな人が現れる」

その後に

「もしかしたら、本気で好きになった人にアンタがやってきた事と全く同んなじ事をされるかもしれない」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ