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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第5章 ~試験飛行~

ブリーフィングルームに集められたナオトはそこでシンシア隊と初めて合流した

そこにはシンシア隊長の姿は無く、ハンズィ隊長の姿があった

しかしミーティングを仕切っているのは大柄なサブ、ヴァイカート軍曹だった

無表情のこの男は低い声で本日以降の調整を報告していた

ヴァイカート軍曹は短い髪に切れ長の目をした北欧系の男だ

皆、サブの連絡を黙って聞いていた

ナオトは一番後ろに座りチームの皆を眺めていたが背中ばかりでよくわからない

小柄な男性、金髪の派手な女性…性別も国籍もてんでバラバラな、あまり軍隊らしからぬ色彩に思えた


「予定通り全体の編隊演習のあと、海上にて<ブリッツ>の放電訓練をする…それと…ナオト・サカモト!前へ!」

ふいに名前を呼ばれてナオトは面食らいながらヴァイカート軍曹の横に並んだ

背の高いヴァイカート軍曹と並ぶとアジア人まるだしのナオトは子供のようだ

「うちのチームに配属になるナオト初等兵だ、機体は当面“クラング”、セッティング中なので皆とは後日システムを同期させる」

「は、初めまして、ナオト・サカモトです!」

皆、無表情に頷く

地上ガード部隊のようなフレンドリーな出迎え方ではないようだ


「ナオト、君は“クラング”のセッティングを15時まで終わらせてくれ、機体の調整を終わらせないと皆との合同訓練が出来ないからな、それと15時以降は隊長のフォローにまわってくれ…、今日は終日医務室だろうからな」

「わかりました!」


一連の流れを確認してからハンズィ隊長が皆に声を掛けた

「ヴァイカート軍曹、レポートは夜までに俺に…、指揮は任せる、ナオト初等兵!午前中のテストは俺が組むからな、レポートは自分で隊長に出せ、みんな!隊長が居ないあいだに羽根を伸ばせッ!以上だ」

ハンズィは皆にウィンクをして退室した

「うちの姫サマが羽根を休ませてくれるかよッ」

ハンズィ隊長が退室した途端、急に賑やかになった

「イライラがウチらに八つ当たるだけだよねッ」

ナオトは豹変したチームメイトに動揺した

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