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missing☆ring【完】

第6章 最期の時。

「陸は……裕実を好きだったと思うぜ」



俯いていた典幸が呟いた。



「じゃなきゃ、会いたいなんて思わないだろう。好き過ぎて、失うのが怖かったんだよ」



典幸が何時になく真剣に「失うくらいなら、その言葉を言わずにそばに……一番近くに居たかったんじゃねーの?」



「でも、」


「わかんねーけど……裕実を置いて逝くのを分かってて、気持ちは伝えられねーだろう」



典幸が悔しそうに唇を噛み締める。



「ヨコヤンは何時も裕実には優しかったじゃん。何時も裕実の隣で笑ってたじゃん」



そう綾子が言う。



「陸君はちゃんと裕実を見ていてくれたじゃん」


雅美が言う。



皆が陸の気持ちを知っていた。
知らなかったのは私だけ……
陸の一番近くに居たのに、陸の本当の気持ちに気付かず、逃げ出したのは私……ーーーー



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