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missing☆ring【完】

第6章 最期の時。

告別式の日。
綾子と雅美がアパートまで迎えに来てくれた。



3人で泣き腫らした瞳を合わせ、陸との最期のお別れに向かった。



告別式には見慣れた顔もあった。
皆口々に信じられないよねとか、
若過ぎるよねとか言っていた。



それを遠くにある意識が聞き入れないようにする。
仮面のような笑顔を貼り付けて、皆と話した。



本当は今にも逃げ出したかったけど、あの日と同じ後悔はしたくない。



告別式が終わり、陸が火葬場へと移される。
そして本当にこれが最期……。







「故人に最期のお別れを」




その言葉で皆が陸との別れを口にする。
泣き声が聞こえ、嗚咽が聞こえ、
陸との最期の別れだった。










これでもう一生陸を見ることは出来ない。
陸に気付かれないように、盗み見していた高3の時とは違う。
陸が地元に戻って来たら、偶然逢えるかもしれないと思っていた時とは違う。






永遠に……ーーーー


本当に最期になる陸の安らかな顔。
瞳を閉じていても、切れ長の瞳も。
開くことのない薄い唇も。
クセのある髪も。






忘れないから。
陸の全部を……ーーーー



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