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missing☆ring【完】

第8章 愛しの君へ。

キャラメル色の髪を靡かせ、長い睫毛を瞬かせ「陸」と優しく笑い。



艶やかな唇を尖らせ「陸」と拗ねる。



何時も隣に居ることが当たり前だった裕実。
でも、本当は当たり前のことなんて何一つなかったんだよね。



それに今になってやっと気付いたよ。
今さら遅い。
もう二度とあの頃には戻れないし、俺にはやり直す時間もない。



窓の外に視線を向けると、真っ青な空が広がっている。
今日は少し気分が良い。



今のうちに、まだ自分の中の裕実を確認できるうちに。
文字が書けるうちに。



母親に頼み、便箋と封筒を用意してもらった。




裕実へ。



愛しい子の名前を書いて瞳を閉じた。




ゆっくりと裕実との想い出を思い出す。




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