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missing☆ring【完】

第5章 1年前。

「裕実」


「ん?」


「ヨコヤンとはあれっきり?」




あれっきり……




「そうだよ」


「連絡とかは?」


「全然だよ」私は首を振った。



私の携帯の中にはまだ陸の番号もアドレスも残っている。
ずっと、ずっと眠っている。
いつ出番が来るのかと待っている。



「裕実、ヨコヤンのこと好きだったんでしょ?」


「……昔ね」


「昔?」




綾子のが眉をひそめて「まだ好きなんじゃないの?」と真剣に私を見つめる。



「まだ終わってないんじゃないの?本当に昔って言うなら、ちゃんと終わらせなよ。じゃないと、裕実だけずっと前に進めないよ?」





あれっきり……
陸の背中を涙で見送ったきり。
終わらせることが出来ずに、ただ見送ったきり。



「良い機会じゃん。ヨコヤンのこと」



綾子は優しく言ってくれた。
口には出さなくても、ずっと心配してくれていたのかもしれない。



「そうだね」



また陸への想いが甦ってくる。



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