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暗闇で恋しましょう

第14章 月明かりに照らされて

変わらなきゃ。


弱いままの私じゃ、ダメなんだ。


大切な人をこうして傷付けちゃうんだ。



ぎゅっ………



水上さんに手を伸ばし、抱き締める。


私の小さい体じゃ水上さんの体はちっとも包めやしない。


それでも、私の全てで水上さんを包む。



「謝らないで。水上さん。何もしてなくないよ。何も、出来てなくないよ。水上さんが何回そう言おうと、思おうと私はいつも救われてるんだよ。いつもありがとうって思ってるんだよ」



拙いけど、一生懸命伝える。



全て本心だから……

どうか……どうか……伝わって……

伝わって、少しでも、水上さんの自責を拭って………



ぎゅっと腕に力を込め、伝われ、と念を込める。


水上さんは無言だ。


伝わってるのか、分からない。


私はただ、遠慮気味に抱き締め返すその腕と、肩に感じるぽつぽつと落ちるもの。


それらが、どうか、悲しいものからでないようにと願うだけ。

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