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暗闇で恋しましょう

第4章 それは手の届かぬ場所に

何かが顔に当たって、むず痒く目を開ける。


まず目に入ったのは、誰かが扇いでくれている団扇。


その風で、横髪がふわふわ舞い、顔にかかるのがなんともうざい。



「.......こそばい....」



寝起きなのもプラスし、扇いでくれている人に対しそんな物言いをしてしまった。


当たり前だが、気分を害したようで、ぴたっとそれは止まる。


それと同時、身体を包んだのはむわっとした暑さ。


無理。耐えられない。



「暑い......」

「......我儘め」



聞こえてきた不機嫌そうな聞き覚えのある声に、寝ぼけながらも耳を疑う。


寝ぼけ眼、再度パタパタし始めた団扇の合間を縫って、声の主を確認する。



「.......ひぃちゃんだぁ....今日、早かったんだねぇ....」

「アホか。いつもと一緒だっつーの。お前が寝すぎなの」



軽いでこぴんをされてしまった。


そうか。でもそんなに寝てたのか。



寝る子は育つって言うし、良い事良い事



思いながら目線の先は自分の胸。


大きくなーれー、と強く念を送る。



「.....どこを見て、何を思ってんのかは敢えて聞かねぇけど、起きたらなら、どいてくれ。足、痺れた」

「.......?」



何故、私が寝るというだけでひぃちゃんの足が痺れるのだろう。

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