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暗闇で恋しましょう

第4章 それは手の届かぬ場所に

きょとんとする私に、大きな溜息が降り掛かる。



「あのなぁ、俺はお前が気持ち悪いと思って」

「私が気持ち悪い?!き、汚いって意味で....あ、洗い流せって...」

「人の話、最後まで聞けよ....」



ひぃちゃんの顔、キレる5秒前で。


私ははいと小さく言ってから、ひぃちゃんの前に正座した。



「お前、寝てる時、すっげぇ汗かいてたんだよ。だから、体ベタベタして気持ちわりぃだろうよ」



.....そう言われてみれば、なんだか体がべたつくような......


あ!そうか。


この激しい喉の乾きは、それのせいか。



「分かって頂けましたでしょうか」

「.....で、でも...それって=臭いになるんじゃ...」

「往生際がわりぃな。盛大に勘違いしたの恥ずかしいからって、俺をひどい奴にするの止めてくれねぇか」



ぐぅの音も出ぬ。


でも、全身こんなにべたつくなら、髪だって相当べたついてた筈。


ひぃちゃんがいつ、私に膝枕を施してくれたかは知らないけど、そんな私を自分の膝に置いてくれていたんだ....


そして、同時に分かる団扇の意味。



っ......本当、ずるい.....

好き....



にやにやする口元を隠すように、口を両手で覆う。

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