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いつか手をつないで歩こう

第2章 姉と弟


私達が住むこの部屋は、築30年以上はたつ古いアパート。
玄関を入ったらすぐキッチンで、奥に六畳二間があるだけのほんとに小さな家だが、二人には愛着があった。


私達はいつもリビングでご飯を食べる。
南向きの窓からは、明るい日差しが入ってきて、とても心地が良いのだ。


「今日も帰り遅いの?」

私は浩輔に聞いた。

「うん、多分ね」

「そう」

浩輔は週3日、学校帰りに書店でアルバイトをしていた。


「だから夕飯、先に食べてていいよ」

「うん…」

ーーーー

浩輔はいつも、先に会社へ行く私を見送くってくれる。

「行ってきます」


「行ってらっしゃい。気をつけて」

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