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いつか手をつないで歩こう

第2章 姉と弟


会社でのお昼休み。
私は同期の百合ちゃんと、屋上のベンチでお弁当を広げた。

百合「うーん、いいお天気!」

私「そうね」


ふと、10年前の両親のお葬式の場面を思い出していた。


まだ何が起きたのかわからないかのように、私は放心状態だった。
浩輔だって、きっとそうだっただろう。


両脇を親戚の叔母さん達に支えられて、歩くのもやっとだった13歳の私がいた。


その後で、叔母さん達がひそひそ話しているのが聞こえてきた。
それは…。


えっ、私と浩輔、引き離されるの?今誰がどっちを引き取るかって、言ってた。


私は絞り出すような声で言い放った。

「…そんなの絶対いやです…私、浩輔とは離れませんからっ!…グスッ…ぅ」

「美雪ちゃん…」


結局私達は、二人で暮らしていける事になった。
生活費は、叔母さん達が出しあってくれる事になって。
それは私達が高校を卒業するまで続けられた。
今思うと、ほんとに感謝しなければならない・・・。


「美雪、どうしたの?」

「あ」

気がつくと、箸が止まったままの私を、百合ちゃんが心配そうに覗きこんでいた。

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