
いつか手をつないで歩こう
第5章 告白
数日後。デザイン課に所属する私は、明日の会議で使う資料を探しに、資料室へ来ていた。
「これと…これ」
棚に並ぶたくさんの本の中から、数冊選んで取り出したとき。
カチャ
「っ」
誰かが入ってきた気配を感じ、私は振り向いた。
そこにいたのは。
「前野さん」
「君が入っていくのが見えて、追いかけてきた」
「私に何か?」
なんだか前野さんの様子がおかしかった。
メガネの奥の目が、私をじっと捉える…。
「単刀直入に言う。
香坂美雪さん、僕と付き合ってくれないか?」
「…っ!」
あまりにびっくりし、私は言葉がすぐに出てこなかった。
