
いつか手をつないで歩こう
第7章 二人の間で
すると前野さんは笑って言った。
「そんなに緊張しなくていいよ。
ここの店ね、おいしいって評判だから一度来てみたかったんだ」
私は頷いて聞いた。
「失礼いたします」
着物を着た店員さんが、お肉とつけだれを運んできて、私達にお料理の簡単な説明をしていった。
「さっ、どうぞ」
「はい。いただきます…」
私はお肉をお湯にくぐらせ、ゴマだれにつけて食べてみた。
柔らかくてすごくおいしい…。
「あ、おいしいね」
「はい、とっても」
私と前野さんは、目を見合わせて同じ気持ちだった。
なんだか不思議な感じ…。
だって、浩輔以外の男の人と食事をするのは、初めてだから。
