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いつか手をつないで歩こう

第12章 見えない未来


やってきたのは港だった。遊園地があり、おしゃれなカフェやショップが立ち並ぶ、いわゆるデートスポットだ。

2月にしては暖かい日だった。
港にはいくつかの漁船が停泊していた。
遠くの方には客船も見える。


すると孝宏が突然言う。

「じゃあ、ここからは別行動って事で」


「は?ちょっと待て」


「里沙が海洋博物館へ行きたいって言うからさ」

里沙は孝宏の横でにこにこ笑っていた。

はめられた…。

まなは恥ずかしそうに俯いていた。

「まな、浩輔君いい人だから安心して?
それじゃまた明日ね。浩輔君、まなをよろしく」

「あ、あぁ」


何がいい人だ…。
俺とまなは、二人の後ろ姿を黙って見送った。


仕方ないか…。この子を置いて帰る訳にはいかないし。


「とりあえず座ろっか」

「…はい」

ベンチに腰かけ、周りを眺める。
日曜の午後だけあって、大勢の人が遊びに来ていた。
俺はまなにたずねた。


「君は今日こうなる事、知ってたの?」

「はい…」

すると、まなはやはり伏し目がちに答える。


「ふーん。え、里沙ちゃんと同じ学校って事は、卒業したら保育士になるんだ?」


「えぇ、そうです。子どもが大好きなので」

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