
いつか手をつないで歩こう
第12章 見えない未来
「さっきから気になってたんだけど、なんで俺と目を合わせてくれないの?」
俺は俯くまなの顔を覗きこんだ。
「…きゃっ」
そのとたんまなは両手で顔を覆ってしまった。
「もしかして…男と付き合ったことないとか?」
まなはこくりと頷いた。
俺はやっぱりそうかと思い、まなに合わせようと努めた。
「勇気出して来たんだ」
するとまなは、顔を上げて言った。
「実は私、浩輔さんを前から知っていました」
「え、どこかで会ったっけ?」
「昨年の大学祭に里沙と遊びに行った時、里沙の彼氏達といた浩輔さんを見かけたんです」
「知らなかった」
「私…あれからずっと浩輔さんの事が気になっていて。だから今日お会いできて、とても嬉しいです」
まなの頬は、ほんのりと赤かった。
