
いつか手をつないで歩こう
第12章 見えない未来
俺は目を見開き驚いた。いきなり家に来いとは…まなの真意がわからなかった。
「それはもう帰る、って事だよね?
いいよ、家まで送るから」
「違うんです、浩輔さん。送るだけじゃなく、私の彼氏のふりをして欲しいんです!」
「…どういう意味?」
「私…ストーカーに待ち伏せされていて…怖くて一人で帰れないんです」
「えっ」
そういうことか…。言われてみればおとなしすぎると思った印象も、何かに怯えているように見える。
まなの唇がかすかに震えていた。
「わかったよ。彼氏のふりでもなんでもするから、一緒に帰ろう」
「ありがとうございます…浩輔さん」
「うん」
俺はまなを勇気づけるように、笑顔で答えた。
これが美雪とのしばらくの別れになるとも知らずに……。
