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いつか手をつないで歩こう

第12章 見えない未来


まなが住むワンルームマンションは、地下鉄の駅から歩いて数分ほどの住宅街にあった。
夜になると人影もあまりないような、静かな場所だ。


家に近づくと、まなが一瞬びくっとしたのがわかった。
電柱の影に、ひとりの若い男が立っているのが見える。

「あいつなのか?」

まなは俺の問いに頷くと、腕を絡ませてきた。

「お願い、このまま一緒に部屋の中まで来て下さいっ」


「わかった」

俺とまなは足早にマンションの階段を上がり、部屋へ着いた。

ーーーー

「ふーっ」


ドアを閉めて鍵を掛けると、ようやく安心したようにまなは床に座りこんだ。


「大丈夫?」

「ハァ、ハァ…ええ…」

そして俺は聞いた。


「あいつは、一体誰なんだ?」

だがまなの答えに俺は耳を疑った。

「兄です…私の」

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