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いつか手をつないで歩こう

第15章 桜


4月初めのある朝。

「え〜ん。遅れちゃったよー」


私は駅への道を、小走りに急いでいた。
いつも目覚ましでちゃんと起きれるのに、今日は寝過ごしてしまったのだ。


最近すごく眠くて、身体もだるかった。
どうしたんだろう私。


満開の桜が並ぶ歩道で、小学生の列とすれ違う。
先頭は一年生らしき子どもが、上級生のお姉さんに手を引かれて歩いていた。

ふふ、かわいい。

ーーーー

私は地下鉄の女性専用車両に乗り込み、空いている席へ座った。


ふーっ、やっと落ち着いた。
そしてバッグの中から、スケジュール帳を取り出した。


浩輔と撮ったプリクラの写真が、大切に挟まれている。


浩輔


あのね、私


もしかしたら……。

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