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いつか手をつないで歩こう

第16章 命


その夜。私は浩輔に打ち明けた。

「はっ?今なんて」

箸を持つ浩輔の手が止まり、目を見開いて私を見た。

「だからね、妊娠検査薬で陽性反応が出たの」

「美雪…うそだろ?」


「浩輔喜んでくれないの?私達の子どもができたのよ」

「そんなはずないっ。どうして…」

二人の間に重苦しい空気が流れ出す。


「浩輔お願い、私産みたい!」

「何を言ってんだ!そんなことできるわけない」

「うぅ…ッ…」


「…美雪。それがどういう事かわかっているのか?」

「ヒック…!」


「俺達は、血が繋がってる。生まれてくる子は…障がいを持っているかも知れないんだよ?」


浩輔は私にさとすように話した。…。

「それに誰がその子の幸せを保証してくれると言うんだ?」


「わかってるよそんなこと!
でもこの子はっ…浩輔の子どもだから…どうしても…産みたい、ヒック」


「とにかく明日病院でちゃんと診てもらおう」


浩輔


そんな困惑した顔をしないで。


そしてわがままな私を許して。


この子と一緒だったら、どんなに辛くても


私は一人だって平気だよ……。

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