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Fallen Angle

第2章 in

日が傾き始め、カーテンの隙間から零れる光で目を覚ました。
「…駿?」
隣に姿はなく、体の鈍い痛みと余韻だけが残る。
ベッドから降りると駿の残した熱いものが脚を伝う。
濡れたシーツと脱ぎ散らかしたバスローブをくるんで洗濯機に放り込むと、そのままバスルームに入り熱いシャワーを浴びる。
指先を深く入れて中を掻き出すと、次々と白濁したものが溢れてくる。
シャワーを終えて着替えを済ませると真新しいシーツに敷き直してベッドに倒れ込んだ。
太陽の匂いに包まれて、また眠りに誘われる。
不意にサイドテーブルの赤いLEDに目を遣るとバスの到着時間を過ぎていて、慌てて着替えを済ませマンション下に降りていくと既に幼稚園バスは停まっていて、息をきらして駆け寄った。
「…遅くなって…すみません」
「…まま」
隣に来て不安げに蓮の顔を見上げて小さく手を握る。
「良かった。お迎えに来ないから心配してたんです。今日は弟さんじゃないんですね?」
「弟?」
一瞬固まり、駿の顔が浮かび
「あ…ええ」
作り笑いを女に返した。
「しゅんは?」
小さく呟く声に目線を落とし
「知らない。お出かけかな?」
「それじゃあここで。結ちゃんまた明日ね」
女が手を振ると扉が閉まり、会釈してバスを見送ると結の目線まで体を屈め
「お買い物に行こうか?」
「うん」
繋ぐ手を結が揺らし、近くのスーパーに着くと手から離れ菓子売り場に一目散に駆けて行く。
「結、店の中を走らないで」
追いつくと結は駄菓子を手に握りしめ、嬉しそうにカゴに放り込む。
肩を落として、ため息を漏すと
「結?1個だけだよ。夕ご飯が食べられなくなるから」
そう窘めると不満げな顔で見上げる。
「しゅんは…いっぱいかってくれるよ?」
屈んで目線を合わせると
「ママは駿とは違うんだよ?」
「…うん」
菓子コーナーを一通り廻る結に仕方なく付き合った。
カゴに入った駄菓子をまとめて適当な棚に戻すと
「結?行くよ?」
袋に入った食玩を持ち、動こうとしない結を無言でカートに乗せると夕食の食材を次々に放り込んで手早く買い物を済ませる。
レジ前で財布を開くと枚数が少ない事に気付き、小さなため息が零れる。
手を繋いで家に戻るとキッチンに買い物袋を並べた。
キッチンカウンターのガスチェアに結が座り、食玩をカウンターの上に広げ楽しそうに遊ぶ姿を眺めながら、夕飯の支度を始めた。

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