Fallen Angle
第1章 Re
タオルを頭から被り、濡れた髪から雫が滴り落ち、カーペットに幾つもの染みを作る。
「結たん、そのまんまじゃ風邪ひいちゃうよ。こっちにおいで」
構って欲しいのか、駿が捕まえようとすると腕から逃げ、甲高い声を上げてはしゃいでいる。 「結っ」
荒らげた蓮の大きな声に小さく体が跳ね、結の動きが止まった。
結の腕を掴んで強引にタオルで濡れた髪と体を拭い
「駿の言うこと聞かないとだめじゃない。ほら、あっちに行って着替えてきて」
廊下に続くドアを指差して背中を押すと結はタオルを引き擦りながら肩を落として駿の元に戻って行った。
再びシンクに立つと温めたミートソースをパスタに絡めて皿に盛り、サラダと一緒にダイニングテーブルに並べた。
バッグを掴み廊下に出ると、スウェット姿の駿とすれ違い、リビングのドアを指差すと
「ご飯ならテーブルに置いてあるから」
「蓮は一緒に食べないの?」
シューズクロークからコートを取り出して羽織ると鏡を前に襟を正して
「今日は外で食べるからいい。それにもう行かないと…後はよろしくね」
「うん。結たんママにいってらっしゃいしよ?」
促しても結は駿の足に絡みついたまま首を横に振り動こうとしない。
その姿に蓮はため息を漏らした。
「いってらっしゃい」
小さく唇を重ねると笑顔の駿に見送られた。
外に出るとドアの向こうから結の泣き声が聞こえてきた。
泣き声を不快に感じながらも、下に呼んであったタクシーに乗り込んだ。
黒く光るボンネットに街の明かりを映しだす。
赤く続くテールランプに、流れ出した車の波。
側道に停めたタクシーの赤いテールランプとオレンジのハザードの点滅が列をなし、今日の始まりを告げている。
歓楽街の入り口でタクシーから降りると冷たい風が頬を刺す。
風をよけ、ビルの死角でタバコを咥えると火をつけて、肺を煙で満たすとコートの襟を竦めて歩き出した。
着信音が鳴り
「もしもし?」
『今どこにいるの?』
昼間、電話を掛けてきた男の馴れ馴れしい声が聞こえる。
「まだ駅の近くなの。少しだけ待ってて貰ってもいい?」
『それは別に構わないんだけど…』
「ごめんね。急いで行くから」
電話を短く終わらせて再びメール画面に戻ると打ち込む指先が悴む。
一通り営業を終える頃には、ドレス姿の夜蝶たちが増えてくる。
「蓮」
人の波に頭一つ分背の高い男が手をあげていた。
「結たん、そのまんまじゃ風邪ひいちゃうよ。こっちにおいで」
構って欲しいのか、駿が捕まえようとすると腕から逃げ、甲高い声を上げてはしゃいでいる。 「結っ」
荒らげた蓮の大きな声に小さく体が跳ね、結の動きが止まった。
結の腕を掴んで強引にタオルで濡れた髪と体を拭い
「駿の言うこと聞かないとだめじゃない。ほら、あっちに行って着替えてきて」
廊下に続くドアを指差して背中を押すと結はタオルを引き擦りながら肩を落として駿の元に戻って行った。
再びシンクに立つと温めたミートソースをパスタに絡めて皿に盛り、サラダと一緒にダイニングテーブルに並べた。
バッグを掴み廊下に出ると、スウェット姿の駿とすれ違い、リビングのドアを指差すと
「ご飯ならテーブルに置いてあるから」
「蓮は一緒に食べないの?」
シューズクロークからコートを取り出して羽織ると鏡を前に襟を正して
「今日は外で食べるからいい。それにもう行かないと…後はよろしくね」
「うん。結たんママにいってらっしゃいしよ?」
促しても結は駿の足に絡みついたまま首を横に振り動こうとしない。
その姿に蓮はため息を漏らした。
「いってらっしゃい」
小さく唇を重ねると笑顔の駿に見送られた。
外に出るとドアの向こうから結の泣き声が聞こえてきた。
泣き声を不快に感じながらも、下に呼んであったタクシーに乗り込んだ。
黒く光るボンネットに街の明かりを映しだす。
赤く続くテールランプに、流れ出した車の波。
側道に停めたタクシーの赤いテールランプとオレンジのハザードの点滅が列をなし、今日の始まりを告げている。
歓楽街の入り口でタクシーから降りると冷たい風が頬を刺す。
風をよけ、ビルの死角でタバコを咥えると火をつけて、肺を煙で満たすとコートの襟を竦めて歩き出した。
着信音が鳴り
「もしもし?」
『今どこにいるの?』
昼間、電話を掛けてきた男の馴れ馴れしい声が聞こえる。
「まだ駅の近くなの。少しだけ待ってて貰ってもいい?」
『それは別に構わないんだけど…』
「ごめんね。急いで行くから」
電話を短く終わらせて再びメール画面に戻ると打ち込む指先が悴む。
一通り営業を終える頃には、ドレス姿の夜蝶たちが増えてくる。
「蓮」
人の波に頭一つ分背の高い男が手をあげていた。
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