Love Song ~キミに捧げる歌~
第2章 彼女の誕生日
そんなこんなで時は過ぎ、ついに彼女の誕生日…。
午前中から彼女の部屋はとても賑やかだった。
俺は、そんな彼女の傍にずっといた。
…夕方になり、人がいなくなると、俺は彼女にそっとキスをした。
「た…、剛典君…?」
「今更だけど…。 お誕生日おめでとう、恋歌。」
「有難う。 …今、「恋歌」って言った?」
「えっ…。 …さあ? どうでしょうね?」
「なっ…! …まあいいや。」
「?」
彼女は、安心したような笑顔を俺に見せた。
「剛典君。」
「どうしたの?」
「退院、おめでとう!」
「な…、何で知ってるの!?」
「え? 理恵ちゃんに聞いたから。」
彼女が言う「理恵ちゃん」というのは、俺もお世話になった看護師さんの名前だ。
「あ、そうなんだ…。」
「うん。 …また、来れるときは来てね?」
「うん、勿論。」
俺がそう言うと、彼女はいつもの笑顔を見せてくれた。
…でも、会えない時は電話でいいから繋がりたい…。
…あっ、そうだ!
「恋歌ちゃん、メモある?」
「えっ? あるけど…。」
彼女は、不思議そうな顔をしながらも俺にメモを渡してくれた。
「何書いてるの?」
「ん~? 俺の携帯の番号。 会えない時とかは、この番号に電話して?」
「分かった!」
「…じゃあ、またね。」
「うん。 またね!」
恋歌ちゃんの可愛らしい笑顔を見てから、俺は彼女の部屋を後にした。
―こうして別れた次の日、俺は無事退院した。
…この先に起こる出来事など、知る由もないまま…。