恋愛妄想短編集【完】
第3章 涙の虜 [完]
ーーピピピピピピ
「んー、ねむー…」
私はレイ。
麗しいと書いてレイ。
私はある時からこの名前が嫌いになってしまった。
まあそんなくらい話は今はいらない。
「ふぁあああ…準備しなくちゃ〜」
最近、私は規則正しい生活をしようと、朝のアルバイトを始めた。
土日は早起きをして、自宅から徒歩3分の場所にあるコンビニへ向かう。
今日はアルバイトのある土曜日。
「レーイ!起きなくていいのー?バイトでしょー!」
「わかってるー!」
普段大学へ通う私は、1人暮らしではなく実家暮らし。
だから見慣れた街で今でも暮らしている。
「レーイー!!ちょっときて!」
「だから起きてるってば!」
「そうじゃなくて、話があるのよ!」
…話ってなんだろう。
こんなに何度も呼ぶほどの用なんて今までにあっただろうか。
なんだか、嫌な予感。
私は素早く用意を済ませ母のいる部屋へ向かった。
眠い目をこすりながらお母さんに声を掛ける
「話って何?お母さん」
お母さんは私の声に反応して、やっと起きてきたわねと振り返った。
「今日何時に帰ってくる?洗濯頼みたいのよ」
「…ねえ、あれだけ派手に呼んでおいてそれだけ?」
「それだけってなによ。大事なことじゃない?」
呆れながら言った私に、お母さんは答える。
まさかほんとにそれだけなの?
「それだけなはずないじゃないの」
私の心を読んだかのように言葉を発した。