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俺が教えてやるよ。

第1章 可愛いね、お姉さん

『いや、あたしは…』

「一回でいいから」

そんなこと言われても…。
「お願いだよ、お姉さん」
ズンズンとあたしに詰めよってくる。

周りのみんながあたしたちに注目してきているのが分かる。
あ、そういえば、ここ教室だったっけ?
これじゃあ、まるで、あたしが美形な後輩をいじめてるようにしか見えないよね。
…ううっ。
それにも気付かない様子の優李くんは、まだあたしを見つめている。

「お姉さん」

『…っわ、わかった!』

「えっ?」

『いいよっ、一回だけならっ!!』

「本当!?」

えぇ、本当ですとも。
もぅ、どーにでもなってくださいよ!

「嬉しいな。勇気出したんだよ、これでも」

『…それはよかった』

ただ、勢いに任せて言っただけ。
よかったなんて思ってませんよ。

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