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美保のプリズム

第1章 空想と現実

小学3年生の美保。
下に弟がいて、美保は優しいお姉ちゃんです。
美保の家庭はとても貧しくて、服はどれもいとこからのお下がりを着ています。
美保の母親は病弱で、参観に来てもらった事もないです。それでも、美保は母親が大好き!
寝る前に母親がいつも絵本を読んでくれます。
母親のお布団に潜りこんで、図書館で借りてきた本を読んでくれるのが、美保にとって毎日の楽しみです。
「お父さん、お母さん、おやすみ!」と元気よく言って、美保はお布団の中で空想します。
もし、空を飛べるようになったら、おばあちゃんのお家に行って、おばあちゃんが作るお団子が食べたいなぁ。そんな事を考えながらやがて、寝息をたてています。暮らしが貧しくても、美保は明るく元気です。

「行って来ます!」と美保は元気いっぱい学校に行きました。授業が終わり、ランドセルに教科書なんかを入れていたら、筆箱を落としてしまいました。
あ!と思った瞬間通りがかっていた、クラスの男の子が運悪く美保の筆箱をバリッと踏んでしまいました。
おばあちゃんが買ってくれた、プラスチックの筆箱はすっかり、割れてしまいました。男の子は慌てて謝りました。拾って机の上に置いた筆箱。大事に使っていた筆箱。美保はがっかりしました。
美保は親に筆箱の事は言いませんでした。
割れた筆箱は机の中に閉まって、折り紙で作った袋に鉛筆や消しゴムを入れました。ハートに切ったのを貼ったりして中々可愛く出来ました。
美保はよし、出来た!とにっこり笑って机の上に置いたまま寝ました。

次の日の朝です。美保は昨夜作った筆箱を見ました。
折り紙の筆箱がないです。あれ?と探してランドセルの中を見ました。すると、見たこともない筆箱が出てきました。クラスの皆が使っているような、表も裏も蓋が開いて、鉛筆を差して仕舞えて消しゴムは消しゴム入れが着いてる、立派な筆箱です。使った色紙と同じ色で、可愛いハートの絵が彩られています。
美保は割れた筆箱と、新しい筆箱を持って「お母さん!見て!」と見せに行きました。美保は「不思議なの。色紙で作ったはずの筆箱がこんな風になったよ。」
母親はにっこり笑って「良かったねぇ、美保。美保はいい子だから魔法の女神様がプレゼントしてくれたのよ。」と言いました。美保は夢でも見てるかのようでした。「へぇ。魔法の女神様かぁ。ありがとう女神様!」と美保は喜びました。

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