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後味の悪い話

第3章 素晴らしい日本

 「国家の三要素」から見ると

 ドイツの法学者ゲオルク・イェリネック(1851~1911)は国家の三要素として「主権、領土、国民」をあげました。この三要素は、現代でも一般に国家の要件として認められています。

 この観点からISをみると、彼らはラッカを中心とする一帯を自分たちの支配下に置いていると主張しており、2014年11月には独自通貨の発行を宣言しました。しかし、その地域ではイラクやシリアだけでなく、シーア派民兵やクルド自治政府も実効的な支配を目指しています。つまり、「正統で唯一の権力」としての「主権」を、ISがこの地域でもっているとはいえません。

 ISは独自のパスポートも発行しており、彼らの目には「IS国民」がいると映るかもしれません。しかし、ISの支配地域に暮らす人々が、全てその支配に従っているわけでないため、「その領域で暮らす人々の総称」としての「国民」がいるとはいえません。ISを「国家」として承認している国がないため、そのパスポートで他国に入ることはできません

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 つまり、望ましくないものについては「主張しています。」とする。全然関係のないパスポートの話題をもちこむことで論点をずらす。

 素晴らしい日本。

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