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チェックメイト

第11章 Are you ready?

着替えを終えて、荷物を持つ。

櫻「あ、悪ぃ。ハンカチ忘れた」

「俺が取るからいいよ」

櫻「悪ぃな」

何日かこの家で過ごしたから、
どこに何があるかは大体把握した。

「何色?」

櫻「あー、任せる」

「はーい」

引き出しを開けると、
紺、黒、灰色、白…と、独身の人が持ちがちな色が見事に揃ってる。

パッと取ったハンカチの下に、
花柄でピンク色のハンカチを見つけた。

一瞬、時間が止まった。

櫻「二宮ー?遅れっから」

「…はーい、今行きまーす」

見なかったことにしよう。
そんな思いで、引き出しを閉まって

駆け足で、笑顔で櫻井さんのもとに。

櫻「鍵、頼んでいい?」

「うん」

駆け足で駐車場に向かう櫻井さんの背中を見つめて、鍵をかける。



『あれ、何だろう』



頭を振って、思考から掻き消した。

辛いことは、すぐに棄てたい。

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