テキストサイズ

チェックメイト

第13章 風は追い風

(松本side)

定時になり、素早く立ち上がる翔。

櫻「お先にあがりま─」

部長「おい、櫻井」

櫻「はい…なんですか?」

早く帰りたがってソワソワしてる。
そんな、彼女が大事かね?

櫻「…はぁ、わかりました……」

どうやら、資料を頼まれたらしい。
部長から見えない死角で嫌そうな顔をしていた。

いつもの様に隣に腰をかけた。

「なに?どうしたの?」

小声で話しかけた。

櫻「資料の訂正だよ。落ち度なんてないようにしたのに」

ホイっと、その資料を俺に渡した。

資料に目を通すと、
ほとんど完璧で落ち度なんてないように見える。


櫻「チッ」


部長がトイレに向かう瞬間、背中に舌打ちをした。

「これ、落ち度ないじゃん」

翔に資料を手渡す。

櫻「だろ?おかしいんだよ。てか、早く帰りたいんだけど」

「あ、彼女さん待ってるんだっけ?」

櫻「そうだよ、早退までしたんだから心配なんだって…」

本当に心配そうな顔をして、
またパソコンに向かい始めた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ