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チェックメイト

第13章 風は追い風

(櫻井side)

潤が帰ったあと、繋がらなかった電話をもう一度かけようと
携帯の画面をタップすると、電話がかかってきた。

「もしもし!」

ニ『櫻井さん…電話、ごめんなさい』

謝る二宮の声は、
物凄く暗くて…今すぐに抱き締めたい。

「どうした?なんかあったか?」

ニ『ううん、なんにもないよ』

「本当に?」

ニ『うん。ただ……』

「ん?」

ニ『帰りが遅いなって…』

寂しそうに呟く二宮の顔が、頭に浮かんだ。

「あ…ごめん。急遽、残業頼まれて」

ニ『ううん、いいんだよ。寝て待ってるから』

「ごめんな…なるべく早く帰るから」

ニ『うん。遅くまでお疲れさま』

「具合は、大丈夫か?」

ニ『……まあ』

「薬の場所、わかるか?」

ニ『薬、ちゃんと飲んだよ』

「ならよかった。ペットボトルの水はベットの脇に置いとけよ」

ニ『うん、ありがとう』

「こまめに水分補給はしろよ」

ニ『わかった、じゃあおやすみ』

「おやすみ」

ブチッ。

切れる音がやけに寂しく響いた。

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