テキストサイズ

チェックメイト

第14章 君が溢れてる

(二宮side)

電話が切れて、俺はベットに倒れ込む。

「残業かぁ……」

帰りが遅いからちょっと寂しかったり…

「あ、ペットボトル……」

櫻井さんの用意周到なところは、凄いと思う。

だけど、そういう人こそ旅行バッグがパンパンになるんだよね。

「ふっ」

そんな様子を思い浮かべて、
ついつい笑ってしまった。

だけど、すぐに現実に引き戻される。



『綺麗な女の人』



智の言葉が頭を離れないんだ。

その人……誰?

あのハンカチと、関係あるの?

いろんなことを聞きたかった。
だけど、そんな勇気は出なくて……

電話越しに声を聞くだけで、
問いただしてしまうのが怖くて……。

もう、自分ではどうも出来なくなって…

ただただ、
苦しんでいた。

こんなになるくらいなら、
ハンカチなんて見なきゃよかった。

智に櫻井さんのことを、聞かなきゃよかった。

それらは全部……
今さらどうにもならないことだった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ