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第14章 君が溢れてる

しばらく目から涙が流れ落ちていた。

シーツが濡れて気持ち悪い。

そう思って、立ち上がりリビングに置いてあるティッシュを手にとった。

涙を拭きながら、
ついでに鼻をかんだ。

そしたら、玄関の鍵が開いた。

真っ暗な廊下から、
足音だけが聞こえてくる。

ガチャ。

櫻「ただい…まだ起きてたの?」

ススッと鼻を啜って、ゆっくりと振り返って……

「おかえり」

出来るだけ、笑顔で言った。

櫻「二宮、泣いてる?」

「……」

何も言い返せなかった。

櫻「どうした?おいで」

スーツを着た櫻井さんが、
俺を抱き締めた。

まだ、スーツは冷たくて…
火照った頬には心地好かった。

櫻「何かあった?」

優しく頭を撫でてくれた。

「んん…何でもない……」

頭をグリグリと、胸に押し付けた。

櫻「何でもなしに泣いてるわけないだろうが」

ギューって強く抱き締めてくれた。



「……寂しかった」



蚊の鳴くような声で呟いた。

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