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チェックメイト

第14章 君が溢れてる

「どこまで!?」

嬉しかった。

櫻「どこまでかは分からないけど…」

「隣に、智がいた?」

櫻「サトシ?」

ゆっくりと体を起こして立ち上がった。
どこ、行くんだろ。

櫻「んな不安な顔すんな」

笑う櫻井さんは、俺の頭を撫でた。

櫻「トイレだよ」

そんなに不安な顔をしていたのか、
頬にちゅっとキスをして寝室を出ていった。

カチャっと、音を立てて扉がしまる。

「……」

まさか、思い出すとは思わなかった。
忘れてたんだから。
俺のこと、覚えてなかったんだから。

急に思い出すとか……

「あ」

きっかけは、あのハンカチか。
彼女のって言ってたし。

いや、元カノのやつか。

カチャ。

櫻「二宮」

「あ、お帰──」

顔をあげると、唇を塞がれた。

「んっ!…ふぅ、ん」

唇が離れると、額を合わせた。


櫻「はあ…よかった……」


熱い息を吐いた。

「櫻井さん?」

櫻「あの時の俺に、お礼がいいてぇ」

俺の頬を包む手が温かい。


櫻「生きててくれて、ありがとう」


その言葉に目頭が熱くなった。

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