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第14章 君が溢れてる

(二宮side)

明日も学校だ。
櫻井さんも会社だ。

なのに……寝れない。
櫻井さんの寝息も聞こえない。

「櫻井さん、もう寝た?」

櫻「ん?起きてるよ」

そう言って、俺の手を握った。

櫻「どうかした?」

「ううん、ただ寝れないだけ」

櫻「俺も一緒だわ」

グイッと俺の手を引っ張って、
体を密着させる。

「寝れないの?」
櫻「うん。なんか、モヤモヤしてて」

「酒、飲んできたの?」

櫻「あはは、飲んでねぇよ」

引き寄せられた体を、抱き締められた。

櫻「二宮、俺と初めて会ったのはいつだか覚えてるか?」

いつもよりも低い声だった。
だから、重要なことだと思った。

「うん、覚えてるよ」

鮮明に覚えてる。
あの日のこと、忘れられないよ。

櫻「俺、思い出したかもしれねぇ」

「えっ!」

驚いて、ついつい上半身を起き上がらせた。

「お、思い出した!?」

櫻「いや、まだ少しだけど…」

暗闇にすっかり慣れた目が、
頭を掻く櫻井さんの姿を捉えた。

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