テキストサイズ

チェックメイト

第15章 今、思いのままに

よく、自分の存在意義を考えた。

物心ついた時から
俺には親がいなかった。

親戚も、血の分けた兄弟も。

なのに、急に“姉”という人が現れた。

嬉しかった反面、怒りが湧いた。

どうして、今頃来るんだよ。
俺、もう中学生なんだぞ。
守らないといけない小さい子だって、
たくさんいるんだぞ。

そんな風に思った。


結局、俺は姉の元に戻ることになった。


─────

原「二宮舞花って言います」

「……どうも」

軽く頭を下げた。

原「でも、もう結婚したから原なんだけどね」

幸せそうに笑った。
その笑顔が、怖かった。

まるで、
『なんで、弟なんているんだよ』
と、言っているようだった。

悠「あれ?弟くん?」

現れたのは、180cmぐらいの長身で青い眼鏡をかけた男性だった。

原「うん。一緒に暮らしていい?」

悠「もちろん」

存在意義なんてなかった。
何度も、死のうと思った。

“この”辛い現実から逃げてしまいたかった。

だけど、いつしか思い出すようになっていたんだ。


櫻『大丈夫?痛いとこない?』


優しく頭を撫でて、
微笑みかけてくれたあなたを。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ