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第15章 今、思いのままに

(櫻井side)

「二宮、ありがとう」

二宮は、首を横に振った。

「俺と、出会ってくれてありがとう」

ニ「……櫻井さん」

ポツリと俺の名前を呼ぶ。

「ん、どうした?」


ニ「助けてくれて、ありがとう」


抱き締めた。
今までで一番強く。


ニ「あ、りが……とう」


しゃくりをあげながら、泣いた。

今まで、泣くことを許されなかった分、
たくさん泣け。

泣いて、泣いて泣いて……

強くなれ。
大人になれ。


「ずっと、隣にいろよ」


二宮の泣き声が止まり、
鼻を啜る音が代わりに聞こえた。


「初恋、なんだろ?隣にいねぇと俺が許さねぇぞ」


ニ『許さない』


お前との出会いを思い出せない俺に、
お前はそう言った。

今度は、俺の番だな。


「逃げても、捕まえるからな」


体を離し、しっかりと目を見る。
暗くてそこまでしっかり見れないけど。


「だから、逃げんなよ?」


ニ「櫻井さんこそ…めんどくさいって俺を捨てないでよ」


少し沈黙があって、
目を合わせたまま笑った。

そして、静かに微睡みに呑み込まれた。

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