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チェックメイト

第18章 手にしたもの

「んぅ…」

玄関のドアが閉まる前に唇を塞がれた。

「ちょ…あ、ドア……」

手探りでドアノブに手を伸ばすと、
その手に櫻井さんの手が絡められた。

ドアが全開。

櫻「っは、さみぃな…」
「閉めてよ…恥ずかしい……」

解かれた手でドアを閉めて、
上下の鍵をかけて、チェーンを掛けた。

櫻「焼肉屋でヤろうとしてた奴が、なに恥ずかしがってんだよ」

「う、うっさいなっ」

痛いとこを突かれた。

櫻「さあ、どうします?」

着たままのコートをいつものハンガーにかけて
ソファにドカッと偉そうに座った。

櫻「まだ、明日まで時間ありますけど」

時計を見ると、11時過ぎだった。
確かに、あと1時間くらいある。

「お風呂、入ってくれば?」

櫻「風呂?」

「うん。スーツのままじゃさ…」

続く言葉を濁して、櫻井さんを横目で見てみた。

櫻「わかった。いってくるわ」

シュルっとネクタイを外して、
ソファの上に投げ捨てた。

全く……カッコいいんだから♡

なんて、思わないよ。
コートはハンガーにかけるくせに、
なんでネクタイもかけないの?

無駄に、雑。

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