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第9章 けど愛しい

(櫻井side)

可愛くねだってくるから
押し倒してみた。

けど…

「無理すんなよ」

体が強張ってる。

ニ「無理なんて…」

「嘘ついてもバレるぞ」

俺の首に回す腕を外して、そっと手を握った。

「ほら、震えてる」

ニ「震えてないっ」

いつまで、意地はってんだよ。
嘘ついたって、すぐバレんのに。

「二宮」

ニ「な、なに…」

「怖いか?」

ニ「へ?」

俺も、先に進むのは怖い。
だけど…
それ以上に二宮が怖いだろうから。

何より、トラウマがあるだろうし…。

ニ「……怖い」

「ふふ、俺も」

ニ「なんで、櫻井さんが…?」

少し潤んだ目で、俺を見つめた。

「ん?だって、男とするなんて初めてだしさ」

不安がずっと、渦巻いてる。
俺の方が震えてるかもしれないし。

ニ「俺だって…初めてだよ…」

照れたように目を逸らして、
ボソッと呟いた。

ニ「好きな人とするの…」

蚊の鳴くような声で言った。

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