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雪の日の空に

第8章 愛した人は…

恋をしているのは本当。

でも。だからと言ってそれを佐月さんに言っていいのだろうか。

「ん?違った?」

違くないです。

佐月さんは私に好きな人がいてもいいの?

それが気になって私は口を開いた。

「好きな人…、出来たら、もう会えませんか?」

所詮付き合うフリの関係。

体を重ねようと、心は繋がらない偽りの関係。

佐月さんの答えを待つ時間がありえないほど長く感じる。

「ゆきに任せるよ。」

にこりと笑う佐月さんは、やっぱり私の事なんて何とも思っていないだ。

胸がキシキシと痛む。

「ゆき?」

不意に佐月さんの手が頬に触れて、我に返る。

「なんで泣いてるの?」

「え…?」

佐月さんの指が涙を拭うと、そこで初めて自分が泣いてる事に気付いた。

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