
エスキス アムール
第2章 オオノさん
「あ、仕事とか?
資料とかたくさんあるって
言ってたもんね?」
「あ、あぁ!
そうだよ、それそれ!
資料に目通してたらさ、
30分なんてあっという間で
…あはは」
「あー、そっか!」
「あははは」
「あははは」
「……」
「……」
「嘘つき。」
「…」←布団に潜った
「このやろー!!
何してたんだよー!!」
THE必殺くすぐり攻撃
「や、アハハハ!
まって、
ちょっと…っ…わっ!」
ドカッ
大野さんは
笑い転げて
ベッドから落ちた。
「大野さん、大丈夫?」
笑いながら、
ベッドの下を見下ろした。
「……」
「…大野さん?」
「…」
大野さんは
ピクリとも動かない。
つついて見ても
何も反応がない。
…え……?
え…、嘘でしょ…?
「ちょっと、大野さん!
大野さん!」
急いでベッドから降りて
大野さんに駆け寄った。
どうしよう。
どうしよう。
心臓が激しく動き出した。
天下の大企業の副社長が、
笑い転げてベッドから落ちて
死にましたなんて、
笑い話にもならない。
笑えない。
……笑えない!
