
エスキス アムール
第2章 オオノさん
急いで脈を取るために
首に手を当てる。
しかし
「…っ」
その手は
大野さんの手に掴まれた。
「クククク」
よく見ると、
大野さんの肩が
小刻みに揺れていた。
そうしてやっと気が付く。
「もうっ!大野さんのバカ!」
嵌められた。
大野さんの背中を
バシバシ叩いた。
「痛いっ痛いっ!
だってはるかちゃんには
嘘が通用しないからさー、
たまにはね?」
そう言って、
悪戯する子供のような
顔を私に向けた。
「隙ありっ」
「え…やっ、ちょっ」
ホッと肩をなで下ろす私に、
そう言って
さっきの仕返しをして来た。
くすぐったくて、
大野さんの指から
逃れるためにベッドに倒れこむ。
そうすると、
一緒に大野さんも
倒れこんで来て、
押し倒される形になった。
私が下で、大野さんが上。
さっきまで
少年のように笑っていた
大野さんは、
とても色っぽい目で
私を見つめた。
