
エスキス アムール
第27章 彼とのカスタム
一緒に住み始めてから
というか、
彼の家に転がり込んでから
木更津は、
毎日のように俺を
何かと気遣っている。
「波留くん、
肩揉んであげようか」
とか
「波留くん、
頭乾かしてあげようか」
とか
「波留くん、
デザート買ってきた」
とか。
何かにつけて、
俺に奉仕しようとするのだ。
今は一つ目の
「肩揉んであげようか」
タイムだ。
「いいよ。こってないから」
「でも、波留くん家事して
疲れてるでしょ?」
家事も確かに
大変な仕事だけど。
男ふたりだし
散らかってないし
動物もいないし。
むしろ働いていた時より
ずっと楽だ。
俺なんかより
木更津の方が疲れているに決まっている。
だけど、
「お前のほうが
疲れてんだろ。」
なんて言うと、
彼はニコニコ笑って、
そんなことないよ。
と否定する。
最近、まだ仕事ができない
俺に、気を使っているように
見えてしまって、
そんな彼の態度を見るたびに
イライラしていた。
