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エスキス アムール

第27章 彼とのカスタム





「…いちいち気遣うのやめろよ」

「遣ってないよ」

また、ニコニコニコニコする。
それも、
無理矢理笑ってんじゃねーのとか。

小さいことを考えてしまう。
仕事がなくなってしまって
思い切り頭を動かせないことに
苛立ちを感じていた。


それをきっと、
木更津にぶつけようとしているのだ。
…なんて小さい男なんだ。



「言ったでしょ?
僕波留くんがすきなんだよ」


「…っ」


平然と、好きだという彼に
耳を疑う。

知ってるけど
知っていたけども。

こんなにも平然と
好きっていうのかよ。


「好きな人には
喜んで欲しいの!
だから、尽くすんだよ」

わかる?
と、ドライヤーを持ってきて
前に座れと指示をした。



「自分でやるからいいよ」

そう言いながらも座ると、
彼は満足そうに笑った。


それと同時に
温かい風が一気に頭に吹いてくる。
いつかの、彼女にしてもらった
あの時を思い出した。





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